成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)
目次
- 性行為感染の予防
- 経母乳感染の予防
- 成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)キャリアの確認検査
- 性感染症としての成人型T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)感染
- 成人型T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の夫婦間感染
- 成人型T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の母子感染(経母乳感染)
- 成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の感染経路
- 成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)
性行為感染の予防
性行為による感染のほとんどは、男性の精液中の感染リンパ球による女性への感染ですから、コンドームを使用して膣内への射精を防げば、感染は予防できます。
経母乳感染の予防
母体が成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)キャリアの場合、経母乳感染で母子感染が成立することがあります。この場合には、人工乳、もしくは凍結解凍母乳による保育が選択されます。
成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)キャリアの確認検査
母子感染予防のために、抗HTLV-1抗体検査が行われます。確定診断としては、ウエスタンブロット法、PCR法が行われますが、自己免疫疾患を合併していない限り、抗HTLV-1抗体検査で正確にキャリアかどうかの確認が行えます。
性感染症としての成人型T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)感染
HTLV-1のキャリア率は20歳までは男女差がありませんが、20歳を過ぎると次第に女性のキャリア率が高くなります。これは性行為による男性から女性へのHTLV-1感染を示唆しており、男性精液中にはHTLV-1感染リンパ球が多数含まれていることも明らかになっています。
男性から女性へのHTVL-1の感染は、精液中に存在する感染リンパ球により子宮頚管上皮細胞が感染し、それがTリンパ球に感染し、血中で感染リンパ球が増加して感染が成立すると考えられています。
このように一般にHTLV-1感染は男性から女性へ伝播されますが、男性性器に他の性病による潰瘍が存在する場合に女性から男性への感染が生じることが報告されています。
成人型T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の夫婦間感染
夫婦間感染では、夫から妻への感染がほとんどで、妻から夫への感染はまれです。男性から女性へのHTVL-1の感染は、精液中に存在する感染リンパ球により子宮頚管上皮細胞が感染し、それがTリンパ球に感染し、血中で感染リンパ球が増加して感染が成立すると考えられています。
このような成人になってからの水平感染では、成人T細胞白血病に進展して行く可能性は極めて低いですが、妻への感染が母子感染で児に感染した場合、児は成人になって成人T細胞白血病を発症する可能性が生じます。
成人型T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の母子感染(経母乳感染)
母子感染は、母乳保育の場合20-50%に母子感染(経母乳感染)が生じますが、人工栄養保育の場合には感染率は1/10まで減少することが知られています。母子感染が起き児が感染した場合、児は成人になって成人T細胞白血病を発症する可能性が生じます。
成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の感染経路
成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)は一般に血中には存在せず、HTLV-1感染Tリンパ球を介して細胞から細胞へ感染します。そのため、輸血感染(リンパ球を含まない新鮮凍結血漿などは除く)、夫婦間感染、母子感染(主に経母乳感染)など限られた経路で感染します。
現在では血液製剤についてはHTLV-1抗体検査を行っているため、輸血感染はまず起こり得ません。
成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)
成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)は成人T細胞白血病の原因ウイルスです。また、HTLV-1感染は、神経疾患であるHAM(ヒトT細胞 ウイルスI型脊髄症、HTLV-1関連脊髄障害)/TSP(熱帯性痙性不全対麻痺)、関節疾患であるHAAP(HTLV-1関連関節障害)、肺疾患であるHAB(HTLV-1関連気管支・肺障害)、眼疾患であるHAU(HTLV-1関連ぶどう膜炎)を引き起こすことも明らかになっています。
HTLV-1キャリアの分布には地域性が認められており、日本国内では九州、沖縄、南四国などに多く認められています。
HTLV-1感染は主として母子感染、輸血感染、性行為感染で伝播されます。