女性の性器クラミジア感染症
目次
- 予防法
- 治療
- 診断法
- 妊婦におけるクラミジア感染
- 肝周囲炎(Fitz-Hugh Curtis syndrome)特徴・症状
- 骨盤内腹膜炎の特徴・症状
- 卵管炎の特徴・症状
- 子宮頸管炎の特徴・症状
- 女性の性器クラミジア感染症の臨床症状
- 女性へのクラミジアの感染経路と病態
- 女性の性器クラミジア感染症
- クラミジアとは
予防法
コンドームの使用(挿入前からの装用)、パートナーの治療などがあげられます。
治療
クラミジアに感受性をもつ抗菌薬による治療を行います。マクロライド系、ニューキノロン系、テトラサイクリン系抗菌薬が、クラミジア感受性を示すため、妊婦・新生児・小児にはマクロライド系抗菌薬を、それ以外にはニューキノロン系、テトラサイクリン系抗菌薬を用いた治療が行われます。
治癒判定は原則的には投薬終了2週間後行うことになっていますが、病原体核酸検出法による場合、クラミジアの死菌を検出して偽陽性になることがあります。そのため治癒判定は3-4週後に行われることもあります。
診断法
クラミジア感染症の診断上の問題点としては、自覚症状に乏しいこと、一般細菌検査では検出できないことなどがあり、現在性感染症の中で最も多い起炎菌であるクラミジア感染を疑って検査を行うことが必要です。
女性性器クラミジア感染症の標準的な診断法は、子宮頚管の擦過検体の分離培養法ですが、検出感度が十分でなく、特別の技術・設備が必要なため、臨床的には主に別の検査法が用いられ、病原体核酸検出法(PCR法、LCR法など)、EIA法(特異抗体による抗原検出)などが行われています。
一方、子宮頚管からの検体では腹腔内感染などの場合、クラミジアが検出できないことがあるので、補助診断法として血清抗体検査が用いられることがあります。
妊婦におけるクラミジア感染
妊婦がクラミジア感染症を起こすと、その上行性感染により絨毛羊膜炎(CAM)を誘発し、流産・早産の原因になることがあります。
また分娩時に子宮頚管にクラミジア感染が存在すると、産道感染を起こし、新生児に新生児結膜炎、新生児肺炎を発症することがあります。新生児結膜炎は生後5日頃から、また新生児肺炎は生後30−50日頃から症状がみられます。
肝周囲炎(Fitz-Hugh Curtis syndrome)特徴・症状
女性の場合、膣、子宮が卵管を通じて腹腔と交通しているため、クラミジア感染は容易に腹腔内に達し、腹腔炎を引き起こします。子宮頸管に感染したクラミジアは上行性感染により骨盤内腹膜炎を起こし、それが上腹部に及び肝被膜に波及して肝周囲炎は起こると考えられています。
肝周囲炎の特徴的症状は下腹部痛とそれに伴う右悸肋部痛(右上腹部痛)ですが、初発症状が上腹部痛のことも多くあります。そのため内科・外科など婦人科以外を初診とすることが多く、急性胆嚢炎、尿管結石など他の疾患との鑑別が重要になります。
骨盤内腹膜炎の特徴・症状
クラミジアによる初感染時の菌量が多い場合、また反復感染が生じた場合に骨盤内腹膜炎を起こすことがあり、骨盤内腹膜炎を起こすと卵管采周囲癒着、骨盤内癒着を併発します。これらは卵管采の機能障害を惹起し、卵の捕獲機能障害が起きます。
また卵管采が完全に閉塞すると卵管留膿腫、卵管留水腫が生じます。
卵管炎の特徴・症状
クラミジア性卵管炎は他の細菌性卵管炎と比較し激烈な症状を示すことが少なく、自覚症状に乏しいケースが多くみられます。そのため無治療のまま放置され反復感染を起こすことになります。
クラミジア性卵管炎の卵管組織障害は、初感染の場合は可逆的変化にとどまりますが、反復感染による慢性卵管炎の卵管組織障害では、卵管粘膜ヒダ構造の欠損、卵管分泌細胞の扁平化、卵管筋層膠原繊維の増殖などの不可逆的な変化が生じ、卵管内腔の狭窄、卵管蠕動運動の障害が起きて、卵管妊娠、卵管性不妊の原因となります。
子宮頸管炎の特徴・症状
クラミジア性子宮頸管炎の症状としては、漿液性帯下(膣からの分泌物)、不正性器出血、下腹部痛、膀胱炎症状などがありますが、これらは特異的な症状ではなく、発症しても約半数が無症状です。
女性の性器クラミジア感染症の臨床症状
女性の性器クラミジア感染症では、最初に子宮頸管炎を発症し、上行性に感染が進行した場合卵管炎、卵管周囲炎、骨盤内腹膜炎を発症します。
特に、子宮頸管炎および卵管炎では自覚症状が乏しいケースが多くあります。
女性へのクラミジアの感染経路と病態
女性のクラミジア感染症の感染経路は次のとおりです。(()内は見られる症状です。)
子宮頸管(子宮頸管炎)→子宮内膜(子宮内膜炎)→卵管(卵管炎、卵管周囲炎、卵巣炎、子宮付属器炎)→骨盤内(骨盤内腹膜炎)→上腹部(肝周囲炎)
また妊娠に与える影響は次のとおりです。
卵管周囲炎、子宮付属器炎→卵管周囲癒着→卵管通過障害→卵管狭窄(卵管妊娠)→卵管閉塞(卵管性不妊症)
女性の性器クラミジア感染症
女性の性器クラミジア感染症では、最初に子宮頸管炎を発症しますが、発症しても約半数が無症状です。そのため無治療のまま放置されることがあり、上行性に感染が進行し卵管炎、卵管周囲炎、骨盤内腹膜炎を発症します。その結果、症状がないにもかかわらず卵管障害、腹腔内癒着を起こし、卵管妊娠、卵管性不妊の原因になります。
感染が肝臓周囲まで波及すると、肝周囲炎を起こし激しい上腹部痛を訴えます。
妊婦がクラミジア感染症を起こすと、絨毛羊膜炎(CAM)を誘発し、流産・早産の原因になります。また、分娩時に子宮頚管にクラミジア感染があると、新生児に産道感染が生じ新生児結膜炎、新生児肺炎を発症します。
クラミジアとは
クラミジアは、球状あるいは卵状の、生きた細胞内でのみ増殖が可能な微生物で、EB(感染性のみを有する基本小体)、RB(代謝活性のみを有する網様体)による、特異な増殖過程が特徴です。
クラミジア属は4種に分類されますが、Chlamydia trachomatisが最も頻度の高い性感染症の起炎菌です。