女性の性器ヘルペスウイルス感染症
目次
- 性器ヘルペスウイルス(HSV)感染症の発症形態による分類
- 単純ヘルペスウイルス(HSV)の母子感染
- 再発予防
- 再発型・非初感染初発型(誘発型)の治療
- 初感染初発型の治療
- 治療
- 診断
- 非初感染初発型(誘発型)の症状
- 再発型の症状
- 初感染初発型の症状
- 症状
- ウイルス型による違い
- 病態
- 女性の性器ヘルペスウイルス(HSV)感染症
性器ヘルペスウイルス(HSV)感染症の発症形態による分類
性器ヘルペスウイルス感染症では、初めて症状が出た場合(初発)、初感染による発症と、初感染時に無症候で潜伏感染していたヘルペスウイルスが何らかの刺激(免疫抑制など)で再活性化して症状が現れる場合があります。
そのため性器ヘルペスは、初感染初発型、非初感染初発型(誘発型:無症候感染による潜伏ウイルスの再活性化による)、再発型(潜伏ウイルスの再活性化による2回目以降の発症)に分類されます。
単純ヘルペスウイルス(HSV)の母子感染
分娩時に母体が性器ヘルペスを発症していると、産道感染による母子感染で胎児が感染し、新生児ヘルペスを発症します。
母子感染の発生率は、単純ヘルペスウイルス(HSV)初感染の場合は約50%ですが、再発型では0-5%と初感染のほうが高い発生率となります。
母子感染の予防には、帝王切開による分娩が行われます。また妊娠中の妊婦に対するアシクロビルによる治療も行われます。
再発予防
再発予防の一つには、前駆症状が現れたとき速やかに抗ウイルス薬投与を行う方法がありますが、前駆症状がない場合もあり、その場合にはこの方法は用いられません。
もう一つの方法は、再発抑制のための継続投薬を行う方法で、再発頻度の高い場合などに行われます。
再発型・非初感染初発型(誘発型)の治療
一般に、再発型・非初感染初発型(誘発型)では症状が軽くまた病変も小さいため、経口投与によらず抗ウイルス薬軟膏による軟膏療法で十分な場合が多くあります。
また、抗ウイルス薬であるアシクロビルの経口投与も行われることがあり、通常5日間程度行われます。
初感染初発型の治療
治療は抗ウイルス薬であるアシクロビルの経口投与が行われます。5-7日間で多くは治癒しますが、症状をみながら7-10日間投薬は行われます。
一方、抗ウイルス薬による治療では仙髄神経節に潜伏感染した単純ヘルペスウイルス(HSV)を排除することはできないため、治癒した場合でも再発は起きます。
治療
単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症の治療には、抗HSV活性の強い抗ウイルス薬であるアシクロビルが用いられます。アシクロビルは、感染細胞で初めて活性化されるので特異性が高く、そのため副作用も少なくなります。
診断
外陰部に潰瘍性病変を形成する疾患は数多くあるので、検査室的診断による鑑別が必要です。
性器ヘルペスでは、病原診断(ウイルスやウイルス抗原の検出)が有意義で、血清診断では初感染時に陰性となることなどから診断は困難です。
病原診断の方法では、ウイルス分離法、EIA法などの感度が優れますが、保険適用のある方法は病変部の擦過細胞からHSV抗原を蛍光抗体法で検出する方法です。この方法では感度は低くなります。
非初感染初発型(誘発型)の症状
非初感染初発型(誘発型)では、初感染初発型と同様初めて症状が出現しますが、初感染初発型とは異なり既に潜伏感染していた単純ヘルペスウイルス(HSV)が免疫抑制状態になったとき再活性化されて病変を形成します。
免疫抑制状態になるきっかけは、抗がん剤・副腎皮質ホルモン剤などの投与、放射線照射、手術、妊娠などです。
またHIV感染者やAIDS患者では、免疫能の低下に伴いヘルペス性病変が出現することが知られており、免疫抑制の程度が強いと病変範囲が広範囲になり、治癒しにくくなります。
再発型の症状
再発型は、潜伏している単純ヘルペスウイルス(HSV)の再活性化により繰り返し再発することが特徴です。
症状は比較的軽く、多くは1週間以内に治癒します。病変は小さい潰瘍性病変、多数集まった小水疱で、病変のできる部位ははだいたい同じですが、異なる場合もありあます。
再発の契機となるのは、心身の疲労や女性の場合月経などです。再発の回数は様々ですが、一般に再発と再発の間の期間が長いほど症状は強くなるといわれています。
再発はHSV−2の感染例でおきやすく、特に初感染時の病変の持続が長い場合に多く再発します。
初感染初発型の症状
感染から2-21日(3-7日が多い)の潜伏期間の後、強い痛みを伴って発症します。外陰痛の痛みが現れる前に、外陰のかゆみや不快感などの前駆症状を伴う場合もあります。しばしば、発熱や倦怠感などの全身症状を伴います。
発症すると強い痛みのため、排尿困難、歩行困難を呈し、入院が必要になることもあります。
主な病変は、水疱性または潰瘍性病変で、大陰唇、小陰唇、膣前庭、会陰部に浅い潰瘍病変が多発します。皮膚面には水疱性病変がみられることがあります。鼠径リンパ節の腫脹(はれ)と痛みが大部分の例で認められます。
また性器以外の症状として、強い頭痛、首筋の硬直、羞明感(まぶしく感じる)などの髄膜刺激症状、尿閉や便秘などの末梢神経麻痺がみられることがあります。これらはHSV−2感染例に多くみられます。
症状
初感染の場合、約70%が無症候性であるといわれていますが、症状が出現する場合には強い症状が認められる場合が多くあります。
一方、単純ヘルペスウイルス(HSV)の再活性化により発症する再発型の場合は、症状は軽い場合が多く認められます。
ウイルス型による違い
単純ヘルペスウイルスには1型と2型があり、その性格にも相違があります。
両者には自然感染部位の相違があり、HSV-1型ウイルスでは上半身、HSV-2型ウイルスでは下半身が自然感染部位です。
また、HSV-1型では初感染初発型の発症が多く、HSV−2型では、再発型および非初感染初発型(誘発型)の潜伏感染による発症が多くなるという報告もあります。
病態
ヘルペスウイルスは性器の皮膚粘膜に感染すると、知覚神経を伝って仙髄神経節に至りここで潜伏感染します。潜伏しているヘルペスウイルスは時々再活性化され、再び神経を伝って外陰部に水疱性、潰瘍性病変を作りますが、病変を作らず性器に排出されることもあります。
すなわち、HSV感染症にはHSVの初感染により病変ができる場合と、HSVの再活性化により病変が出てくる場合があり、両者の症状にはかなりに違いがでてきます。
女性の性器ヘルペスウイルス(HSV)感染症
性器ヘルペスは、性器の単純ヘルペスウイルスherpes simplex virus(HSV)1型または2型の感染で発症するウイルス性疾患です。
現在日本では、女性の性器ヘルペスウイルス感染症が性器クラミジア感染症についで多い性感染症です。