女性の淋菌感染症
目次
薬剤耐性淋菌の増加
薬剤耐性淋菌の増加は、淋菌感染症で最も大きな問題です。淋菌は薬剤耐性を獲得しやすいと考えられ、淋菌の薬剤耐性は多剤耐性となっている点が問題になります。
現在、耐性菌が問題になっていないのは、セフェム系薬、スペクチノマイシンで、治療にはこれらの使用が推奨されます。用法としては十分量の薬剤を注射により投与し淋菌を確実に除菌する単回投与療法が推奨されています。
治療
子宮頸管炎の治療は、薬剤耐性淋菌の増加からそれを考慮した抗生剤の投与(耐性菌のみられないまたは少ない抗生物質の投与:セフェム系薬剤など)で行われます。薬剤投与は注射あるいは経口で行われます。
PID(淋菌性骨盤内感染症)では、複数菌感染の形をとることが多いため、それらをカバーできる薬剤投与が推奨されています。薬剤による治療で改善しない場合には病巣の摘除が行われます。
検査
臨床で用いられる淋菌検出法には、病原体検出法(鏡検、培養、蛍光抗体法)、病原体の抗原検出法(酵素抗体法)、病原体遺伝子検出法がありますが、女性の場合鏡検での検出は他の混在する細菌のため困難であるため、酵素抗体法あるいは病原体遺伝子検出法が行われます。また薬剤感受性試験を行うため分離培養法が行われます。
一方、他の細菌との混合感染の可能性から、淋菌検査を行った場合には、クラミジア検査、細菌性膣症の検査も行うことが推奨されます。
菌血症
菌血症(DGI)とは、原発病巣の粘膜に感染した淋菌が血流に入り播種された(全身にばらまかれた)状態のことを指します。
症状は、発熱、皮膚症状(紅斑)、関節症状で、髄膜炎、心内膜炎を合併する可能性もあります。
日本での報告例は少数にとどまります。
結膜炎
母体の産道が淋菌感染を起こしている場合、産道感染により母子感染が生じ、新生児に新生児結膜炎を発症することがありますが、現在では予防的点眼処置が行われ、発生はほとんど認められません。
しかし、新生児期以降の乳児における結膜炎が少数ながら報告されています。
咽頭炎
症状を呈することはまれですが、咽頭痛、著明な咽頭炎、扁桃炎の症状を示すこともあります。オーラルセックスが主原因であると考えられています。
尿道炎
男性の場合と異なり、女性の場合、尿道炎が単独で起こることは少なく、子宮頚管の感染を伴う例が多く認められます。
隣接部位に感染が波及した場合、バルトリン腺炎、スキーン腺炎、直腸炎が起きます。
PID(淋菌性骨盤内感染症)
帯下(膣からの排出物)と下腹痛があり、また発熱、白血球増多などの急性炎症症状があります。
淋菌によるPID(淋菌性骨盤内感染症)発症では、単独感染例は少なく、クラミジアなどとの混合感染例が多く認められます。
子宮頸管炎
女性の場合、性交感染により最初に感染するのが子宮頚管です。
症状としては粘液性、膿性の分泌物がみられることがありますが、感染しても無症状の例が多くみられます。
女性の淋菌感染症
女性の淋菌感染症では子宮頸管炎が最も多くみられます。
さらに淋菌感染が上行性に感染すると、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤内感染症を起こし、発熱、下腹痛を起こします。骨盤内感染に進展する場合には、淋菌の単独感染より、淋菌と他の病原菌との複数菌感染が多くみられます。
後遺症として不妊症、子宮外妊娠などが起こります。その他、咽頭への感染(咽頭炎)、直腸への感染(肛門直腸炎)、分娩時の産道感染による新生児の結膜炎も淋菌感染によって起こります。
淋菌感染症
淋菌感染症は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)を原因菌とする性感染症です。淋菌感染により男性は主に尿道炎を起こし、女性は主に子宮頸管炎を起こします。